そりゃあ、生きているといろんなことがあります。でも、誰かを憎んだり、恨んだり、蔑んだところでもどうにもなりません。 憎まず、嫌わず、蔑まず! 今日も、笑顔いっぱい元気いっぱい夢いっぱい、頑張りましょう!
2010年9月20日月曜日
#102 秋空に紙飛行機!
教室の窓に並んだ子どもたちが、秋空に向け一斉に紙飛行機を飛ばす。宙に投げられた紙飛行機は、それぞれに軌跡を描く。あるものは上昇気流をとらえて高く舞い上がり、あるものは螺旋状に回りながら地上をめざす。また、あるものは途中の樹木の枝に引っかかり、あるものは互いにぶつかりあって急降下する。
ドラマのワンシーンであれば、それもいい。しかし、現実の学校での出来事ならそうはいかない。私は今、過去に実際に起きた悲劇を思い出している。それは、たった1機の紙飛行機が、窓の外に飛ばされたことから始まった。それをきっかけに、毎日のように教室の窓の下には、たくさんの紙飛行機が舞い散るようになった。そしてそれは、学級崩壊のスタートであり、校内暴力の嵐が吹き荒れる前ぶれであった。
学習や部活動、生徒会活動など何でもいいけれども、学校生活の中に喜びや楽しさを見つけ生き生きと取り組んでいる子どもは、多少のストレスにも打ち勝つ力を持っている。しかし、現実には、学校の教育活動のどれもが嫌になるほどストレスを抱えている子どももいる。彼らは束縛を嫌い、自分勝手に振る舞うことが自由だと錯覚する。そして、自分で押さえきれないほどのストレスからの開放を願い、紙飛行機を大空に飛ばす。紙飛行機が重力に耐えかねて地上に到達するまでの、短い時間の限られた自由だと知りつつ。
ある時、校長室の窓の外を紙飛行機が飛んだ。驚いた校長がすぐ全職員に、その紙飛行機を飛ばした子どもを連れてくるように指示した。やがて、三人の子どもが学級担任に連れられて恐る恐る校長室に入った。しかし、校長は満面の笑みを浮かべながら両手を広げて迎え入れ、まだ封を切っていない模型飛行機製作キッドを手渡してこう言った。「紙飛行機に興味があるなら、ちょうどいい。どうせなら、紙飛行機よりも、この模型飛行機を作ってきなさい。」3週間後の全校集会、この3人の子どもたちは体育館のステージから製作した模型飛行機を飛ばし、全校生徒の喝采をあびた。こうして、この3人の子どもたちのストレスが解消し、教職員の危惧も吹っ飛び、学校は教育崩壊を免れた。それにしても、何故、まるでこのようなシナリオを予測していたかのように、模型飛行機製作キッドが校長室にあったのだろうか。今も謎である。
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