「奥州曙光」

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2010年7月12日月曜日

#60 東京地検特捜部に問う!


  













 先週の5日、新しい東京地検特捜部長が就任したというニュースが報道された。特捜部に配属されてから13年。これまでに住友商事の銅取引巨額損失事件や元防衛次官の収賄事件を担当してきた。周囲の評価は「まじめで温和」、しかし、特捜部のキャップ時代に政界捜査の内偵段階で捜査方針を巡り、上司とぶつかったこともある。部下には「真実を解明するため妥協せず、知恵を絞って動く。一緒に汗を流してやろうよ」と呼びかけるという。

その就任記者会見で、「政・官・財に潜む不正の摘発や、大型経済事件や脱税事件など特捜部らしい事件を手がけたい」と決意を述べていた。好意的に解釈すると、新特捜部長として並々ならぬ意欲を見せたということになる。しかし、本当にそうであろうか。私は声を大にして問いたい。あなたの仕事は事件を解決することではなく、事件をなくすことではないですか?

寿司屋にいくとシャリの上に寿司ネタが乗って出てくる、つまり握り寿司である。そんなことは当たり前のことである。しかし、どうも東京地検という寿司屋ではシャリとネタが別々に出てくるらしい。そんなものを握り寿司とは言わない。もちろん、ここで言うところのシャリは人間、寿司ネタは犯罪や事件のことである。寿司ネタを徹底的に捜査し取り締まる、それはそれでいい。しかし、そこに、その寿司ネタを乗っけたシャリの心の揺れを探し当て見逃さない眼が必要であろう。シャリの心理に同感しながらも、動機を探り、動揺を誘って、心底から落とすことが肝要である。シャリとネタは別々ではない。

翻って、学校現場である。どこの学校にも生活指導を担当する生徒指導主事がいる。当たり前のことであるが、彼らの仕事は「児童生徒間に潜むいじめの摘発や、大型デパートやスーパーにおける万引事件を捜査する」ことではない。「いじめをなくし、万引きを撲滅する」ことも含めて、「よりよく生きようとする児童生徒の生活向上を支援する」ことである。事件が起きたとき、警察や地検は犯人捜しをする。しかし、教育現場である学校では、そのような事件を起こしてしまった児童生徒をどう立ち直らせ、いかに希望をもって生きていけるように援助するかが問われる。さらに、その児童生徒を含む学級集団なり学年集団なりに、これまでの関わりを顧みてお互いによりよく生きるためにどうすべきかを問い直すことである。

 暑い夏、東京地検特捜部長の就任会見に思わずカッとしてしまったが、寿司でも食べて、酢の味覚効果で涼んでみようかな。あなたも一緒にどうですか・・・? 

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