「奥州曙光」

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【壁紙】第85回全国花火競技大会 大会提供花火

2010年6月21日月曜日

#45 また会いたくなる人

 私の生家は荒物雑貨店である。その店先が幼い私の生活空間であり、遊び場兼学習空間であった。だから、物心もつかない頃から、自然に客商売の体験学習をしたとも言える。今でも、ハガキなら一度に5枚ずつ数えることができるし、小さい子どもが「買う~」と言って入ってきても、「おはよう、何がいいかな~」などと柔軟に対応できる・・・かも知れない。

 親父に言わせると、何の仕事でも成功させるにはコツがあるそうだ。商売の第一ステップは「商品を知ってもらう」、第2ステップは「商品を買ってもらう」ことである。しかし、そこで終わったら成功にはつながらない。商売成功の最も大切なコツは、第3ステップの「また、買ってもらう」ことである。新装開店したラーメン店がオープン当初の行列繁盛で満足していたら、3ヶ月後にはつぶれてしまったという話はよくある。つまり、リピーターをどれだけつくれるか、ここが商売が成り立つかどうかの分かれ道である。

 さて、人間のコミュニケーションについて考えてみよう。なぜか商売と似ているところがある。第1ステップの「顔を知ってもらう」から第2ステップの「話を聞いてもらう」までは簡単である。しかし、その先が難しい。第3ステップは、「また会いたくなる人、また話をしたくなる人になる」ことである。ここまでいけるかどうか。ここが肝心。しかし、そこが一番難しい。

 「悪い情報ほど、一人で抱え込まないで早く報告しろ」・・・上司からこう言われる。しかし、素直に話をして、「何やってるんだ!」といきなり怒鳴られた経験がないですか。まあ、悪い情報ですから、ミスをしたのでしょう。怒られるのはしょうがないとして、問題はその後である。「自分のミスなんだから、自分で解決しろ」と突き放されるか。それとも「いっちょ、解決してやるか」とばかりに身を乗り出して、一緒に解決に向けて奔走してくれるか。「もう二度と報告しないぞ」と憎まれるか、「この上司のためにも、ミスしてはいけないぞ」と決意させるか。人間の絆が壊れるか強固になるかの分水嶺である。・・・中学生ぐらいの頃だったと思うが、「買う~」と言いながら入ってきた幼稚園児に対して、「売る~」と言ってポカ~ンとされたことがある。冗談が通じる相手と、通じない相手の見極めがつかなかった時代が私にもある。

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