「奥州曙光」

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2010年8月9日月曜日

#77 あなたの大切な人









千秋公園のハス




 

 勉強が第一、部活動が一番、そして、友だちが大切とあれこれ悩みながらも、真正面から真剣に向きあい、明るく懸命に取り組んでいる中学生。それでも、ふと遠くを見つめて「自分にとって大切な人は」「大切な友は」と、考え込んでいる自分に気がつくことがあるという。大人の入り口となる中学時代は、そんなことを考える時期でもあるのだろう。

  「あなたの大切な人は誰ですか。」と、あらためて聞かれると一瞬考え込んでしまう。いつも自分の味方になってくれる人。何でも言うことを聞いてくれる人。いつもそばにいてサポートしてくれる人・・・このように、自分にとって心地よい人だけが「大切な人」と思う時期がある。確かに、私たちは誕生直後から家庭という無条件の愛情に包まれて育つ。しかし、成長するにつれて可愛いだけの天使でなくなり、天使にとっても、その家庭がいつでも自分にとって心地よいだけとは限らなくなる。さらに、天使の行動範囲が広がるにつれて、いつも心地よい人だけが自分の周囲にいるという状況ではなくなってしまう。そして、やがて、「自分にとって大切な人は」と考える瞬間が訪れる。

 「私が高校に行かないと言ったとき、本気で怒ってくれた。いつも本音で接してくれるお母さん、好きです。」「お父さん、はっきり言って嫌い。たばこ吸うし、中年太りだし。でも好きだよ。家ではいつもゴロゴロしているけど、必死で仕事を頑張ってるんだから。」「どちらもおなかを痛めて産んだ、たった二人の子どもだよ。泣きながら、そう怒鳴られたとき、私たち兄弟は自分のわがままにハッとした。」「部活をやめようかなと悩んでいたとき、それで何かすることあるのとずばり言ってくれた友。ありがとう、その一言で続ける決心がついたよ。」

 中学時代は心も身体も大きく成長する時期であるが、それだけに精神的には不安定な年頃でもある。そんな中学生の「大切な人」という作文を読むと、そんな心の動きがよく現れている気がする。ただうわべの心地よさではなく、本気で怒ってくれる、本音を言いあえる、心をぶつけられる、外見でなく中身で頼れる人。そんな、心の底から信頼できる人が必要なのだろう。中学生には、大切な人をしっかりと見抜く感性がもう備わっている。だからこそ、そのような人を求めるのではなく、そのような人になってほしいと願わずにはいられない。日本中の全ての中学生がそうなったら、100歳以上の老人の所在不明が53名などというニュースが報道されることはなくなるに違いない。 

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